特報:
海洋保護協会(OPS:Oceanic Preservation Society)の映画:”The Cove”

サンダンス映画祭で「アメリカ観客賞(American Audience Award)」を受賞

今年(2009年)1月24日、サンダンス映画祭に出品されていた、OPS代表ルイ・シホヨス監督の映画(90分)がドキュメンタリー部門で「アメリカ観客賞」を受賞しました。

日本での公開は未定ですが、和歌山県太地町で行われているイルカの追い込み猟をとり上げていますので、これまで闇に隠されてきたイルカ猟の実態が明るみにでることになると思われます。

OPSとは:

OPSは2005年に、写真家、映画製作者、野生生物保護を目指す人々によって設立された非営利団体です。海洋の美しさとその破壊された姿をレンズを通 して人々やメディアに知らせ、現状改善による変化をもたらすことを目的に活動しています。会長のルイ・サフォイアス氏は18年間ナショナル・ジオグラフィッ ク・マガジンでカメラマンを務め、世界で最も優秀な写真家10人に入るといわれています。

初めての映画 “The Cove”の制作

写真で活動していたOPSが初めて映画制作したのが、”The Cove”という作品です。Coveは「入り江」のことですが、この場合、和歌山県太地町の畠尻湾の一角にある三方を崖に囲まれた狭い入り江をさしていま す。ここで、太地町の漁協に属している「勇(いさな)組合」のイルカ猟(漁)師が、イルカの捕殺を行なっています。国立公園内の入り江ですが、この入り江 に続く道はすべて封鎖されています。名目は落石の恐れがあるということですが、実はイルカの捕殺をすべての人の目から隠すためだと考えられ、また、関係者 もそう答えています。この映画の題名は、始め(完成前)“The Rising”でした。海洋生物その他の体内に水銀が蓄積し、その水銀値が高まっていっていることを示す意味もあってつけられた題名でした。

この作品は今年(2009年)のサンダンス映画祭に出品され、900近い応募 作品の中から記録映画部門16作品の中に選ばれ、1月18日からプレミアショーで上映されて好評を博しました。上映のたびに観客が立ちあがって拍手喝采 し、これがすべての上映時に起こったそうで、これはサンダンス映画祭ではきわめて異例な現象だったといいます。

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サンダンス映画祭:
左からリック・オバリー氏、ジム・クラーク氏、ルイ・サフォイアス氏
©マーク・パーマー(EII)


日本ではまだ上映されていませんが、次々と送られてくる情報を総合してみると、ドキュメンタリーでありながら映画007ばりのサスペンス映画の部分もあ り、涙と笑いにも満ちているそうです。海洋や海洋哺乳類(イルカなど)の水銀汚染など深刻な問題を取り上げて世界的な水銀禍に警告を発し、イルカの保護を 訴えて世界的に活動を続けているリチャード・オバリー氏の半生を描くと同時に日本で行なっているイルカの捕殺や水族館へのイルカの搬入を記録し、捕鯨問題 まで取り上げている、非常に盛りだくさんな内容になっているようです。

日本は、現在、南極海で捕鯨を行なう唯一の国であり、年間20,000頭余りのイルカの捕殺を許可して国際的な非難を浴びています。日本政府にとっては、 誠に頭痛の種といえる映画ではないかと思われます。このため、日本で上映するのが難しいのではないかと懸念されています。国際的に名高いサンダンス映画祭 で好評を博し、観客賞を受けたこの映画が、日本の観客にどのように受けとめられるのか、また、日本政府にどのような影響を与えることになるのか、国際的に 多くの関心を呼んでいます。