「The Cove」ルイ・サフォイアス監督からのメッセージ

2009年9月1日、太地町のイルカ追い込み猟の猟期が始まりました。追い込み猟を続ける限り、姉妹都市であるブルーム市との交流は望めない状況です。以下は、猟期に先駆けて、記録映画「The Cove(入江)」の監督ルイ・サフォイアス氏が今年(2009年)8月25日に出した声明です。

オーストラリアの人々、日本のイルカ猟に対し明確な姿勢を示す

私は映画 “The Cove”を監督しました。この映画は、テレビドラマ「わんぱくフリッパー」でイルカのトレーナーを務めたリック・オバリー氏を助けて日本の太地における入り江の秘密を暴くために集結した、ちょっと意外な活動家チームについての記録映画です。

私はこれまで何年にもわたって、声をあげることによって変化を起こしてきた人々の力に驚かされてきました。そしてオーストラリアで先週起こった出来事(ブ ルーム市が和歌山県太地町との姉妹関係を解消したこと)は、この映画の浅い歴史の中で、素晴らしい瞬間のひとつとして際立ったものです。ブルーム市の市民 が、姉妹都市である日本の太地町に対して勇気ある見解を示しましたが、私はこのことを高く評価します。これは日本の人々とイルカにとっての勝利というだけ でなく、おぞましい不正な行ないを変える力を持っていることを認識したブルーム市民にとっての勝利でもあります。

映 画「The Cove」が明らかにしたのは、毎年行なわれているゾッとするようなイルカ猟の実態だけではありません。イルカ猟関係者たちがイルカ肉の汚染を知っていな がら、汚染された肉を食の流通システムに組み込んで市場に出し、人々を毒物に汚染させていることも明らかにしたのです。イルカの肉は、高濃度の水銀含有値 を示しているため、ひどい有害物質といえます。水銀はこの世でトップレベルの非放射性有害物質なのです。イルカの肉は法律で許可されている水銀値の5 倍~5000倍の水銀を含んでいます。

そのような事実にも拘わらず、太地町長と太地町議会は、この水銀で汚染された イルカの肉を日本中の学校給食に供給する計画を立て、汚染肉流通の環境を整えました。リック・オバリー氏と彼が所属する団体アース・アイランド・インス ティチュート、セーブ・ジャパン・ドルフィンズ、また私の団体であるオセアニック・プリザベーション・ソサエティは、太地町議会議員2名の協力を得て、こ の恐ろしい計画を中止することに少しばかり手を貸しました。その町議会議員の一人は、給食を出している学校に通う子供を持つ親でした。この2名の町議会議 員はイルカの肉を検査し、その結果、イルカの肉が日本の法律で認められている量の何倍もの水銀に汚染されていることがわかりました。そこで、この議員たち は、学校給食からイルカの肉を取り除くよう町議会に要求しました。

今日まで太地町長は何千トンものイルカ肉を“調査捕鯨”で得た肉という口実で、日本中に販売することを許可してきました。また、日本政府は、イルカを殺 すことは文化であり、部外者は伝統を尊重すべきだ、との見解を変えていません。しかし、これは伝統ではありません。イルカ追込み猟は1933年以降に行な われるようになったもので、70数年の歴史しかありません。人の生命と健康を著しくおびやかす危険があるとき、伝統だから、という理由は崩れ落ちます。人 々は態度を明確にしなければなりません。

まもなく9月1日になり、太地でイルカ猟が始まります。もう少し働きかけることで、人類の歴史の中の悲しい出来事を終わらせて、環境や他の人々を敬う新 たな局面を迎えることができます。映画「The Cove」は、わずか10ドルの入場券を払ってポップコーンを食べながら見るだけのものではありません。世界で最も強力な媒体である映像を使って変化を引 き起こそうという試みなのです。一人でも一石を投じることはできます。そして同じ気持ちを持つ人が何人かいるなら世界を変えることができるのです。ブルー ム市の市民のように。

オーストラリアの人々へ:深い敬意を表します。よくやってくれました。

そして世界中の皆様へ:太地町のThe Cove(入江)の秘密は明らかになりました。この事実を広めてください。